私たちは普段食事をする時、どのように顎と舌を動かし、何回噛んで、いつ飲み込もうかとは考えてはいません。
「一口30回噛もう」という標語がありますが、大抵の人は実行しません。それは、意識して30回噛むことが美味しく感じないからです。
私たちの口は、食物が入った途端に、見事な速さで、「食物量」「まとまり易さ」「くっつき易さ」「温度」「味」「ざらつき」等の食物性状を賢く分析し、その結果に応じて舌や顎の動かし方、飲み込むタイミングを自動的に決定しており、決定された動作は「できるだけ楽して食べてやろう」というずるさに基づいています。
今回の講義では、この口の賢さとずるさを体験していただきます。
大阪大学×大阪大学「アカデミクッキング」とは/"食"や"料理"という身近な切り口から、学問的なものの見方・考え方を身につける教養講座です。専門的で難解な大学の先生の研究でも、どこかで普段のわたしたちの生活とつながっている…。そんな楽しい実感から、日常生活にちょっと変化をもたらすアカデミックな思考回路が生まれます。あなたも一緒に、ガス火で作る料理から新たな学びのとびらを開いてみませんか?