キリストの降誕を祝うクリスマスは、東西のキリスト教会にとって今も最大の祝祭です。ただし、「12月24日に、ケーキを食べてプレゼントを贈る/もらう日」と私たちに刷り込まれてきた“型”は、2000年以上に渡って連綿と祝われてきたこの大イベントにとって、デフォルメされた一つの地域版スタイルでしかありません。
実際のところこの祝祭は、ローマ時代のミトラ教における冬至の祭りや、トルコ出身の聖ニコラの逸話など、キリスト教の成立にまつわる様々な歴史が絡み合いながら生まれたため、その日程や祝い方には宗派や地域、時代の特色が反映され、それぞれ異なっているのです。
講座では、「ナポリ王国」としてイタリア半島にあって長らく独自文化を育んでいたナポリの伝統的クリスマスを、17~18世紀の教会音楽、プレゼピオにみられる飾り付けの様子、そしてまた現在の市民の食卓の“実習”を通して、探っていきたいと思います。
大阪大学×大阪大学「アカデミクッキング」とは/"食"や"料理"という身近な切り口から、学問的なものの見方・考え方を身につける教養講座です。専門的で難解な大学の先生の研究でも、どこかで普段のわたしたちの生活とつながっている…。そんな楽しい実感から、日常生活にちょっと変化をもたらすアカデミックな思考回路が生まれます。あなたも一緒に、ガス火で作る料理から新たな学びのとびらを開いてみませんか?